別記事で、「漫画力=企画力+画力+構成力+演出力」と言いました。
本記事では、漫画力のうちの画力に関して詳細に見ていきます。
画力とは何か?
本記事は漫画に関する画力のお話ですので、画家やアニメーターなどでいう画力ではなく、漫画に必要な画力という文脈で画力を定義します。
漫画家に必要な画力とは、作者が伝えたいことを読者にストレスなく伝えられる絵を描ける力です。
ですので、単純に線がキレイな絵=いい絵とはなりません。
なぜならば、例えば荒々しいアクション漫画の場合、線が細くて丁寧に描かれた絵を描いても迫力に欠け、表現したい荒々しさを十分に表現できません。この場合は、荒々しさを表現できる太くて敢えて雑な線の方が、作品の絵柄としてはマッチしていると言えます。
つまり、漫画家が描く作品の求める画風・絵柄によって最適な絵は変化します。
絵の静と動について
よく画力の高い漫画家として、「ヒカルの碁」「デスノート」の小畑健さんの名前が挙げられます。
小畑さんは非常に絵が上手く、キレイな絵を描かれます。
しかし、小畑さんは「ヒカルの碁」や「デスノート」などの止まった一枚絵(=静の絵)は非常に上手いのですが、例えばワンピースやナルト、ヒロアカなどのアクションシーンの多い絵(=動の絵)はあまり描かない方です。
皆さんの描く漫画が、アクションものなのか、それとも日常ものなのかで、必要となる絵の種類も異なります。
キャラクターの表情の描き分け
画力が高いと言われる漫画家であっても、キャラクターの表情の描き分けが出来ていないと言われる方も少なくありません。
表情の描き分けは漫画力を構成する要素の一つである「演出力」のうちの「演技」を表現するためにも必要不可欠な力となります。
下記は表情の描き分けが上手な漫画家です。
- 皆川亮二先生:「アームズ」「スプリガン」
- ちばてつや先生:「おれは鉄兵」「あしたのジョー」
- 浦沢直樹先生:「20世紀少年」「プルートウ」
- 森田まさのり先生:「ろくでなしブルース」「べしゃり暮らし」
- 岩明均先生:「寄生獣」
このような作品を模写することで、キャラクターの表情の描き分けができるようになります。